同じ速度で長さの違う1秒を観測する、”現在”の再現装置

DURINGは[同じ速度で、長さの違う1秒]を観測する”現在”の再現装置である。
これは光と速度の関係で時間の流れが変わる時間メディアだ。
正面のスライダーはLEDのリフレッシュレート(点滅速度)を制御している。左右に動かすと、ディスクの内側と外側、それぞれが速くなったり遅くなったりと変わって見える。あくまでスライダーはモータの挙動には一切関与しておらず、光の点滅を調整することでこのような見かけをする「ワゴンホイール現象」に注目して制作した。
私はこれまで”時間”という概念に強く惹かれてきた。「誰にでも満遍なく流れているのに、なぜこうも速く感じたり、遅く感じたりするのだろう」最初から最大の疑問であった。その素朴かつ難解な疑問を出発点に、この作品は時制のDuringと輪のRING、二つの意味を込めて作られた。
美大に編入する前、私は物理学を専攻していた。相対性理論は時間について私にこう教えてくれた。時間の正体は光と速度である。時間の住処より、私たちが住む三次元は低次元にあるから[わからない]ものだとも。
難しい理論の視点で時間について考えるのは私にとって驚きに満ち満ちていたが、中でも「物理学では”現在”を証明できない」ということは特に衝撃的だった。現在という概念はそれぞれの通過点にすぎず、特定することは無意味だそうだ。
私がこの作品で本当に向き合ったこと、それは”現在”の証明であった。この装置の面白さは他のメディアでは残すことができない。つまり肉眼でこれを観測している”その間”に感じる面白さ、それこそが”現在”が確かにこの場に存在しているということを示しているのではないだろうか。
DURINGは究極の”現在再現装置”である。
モーター/Arduino/ブラックライト/アクリル/集光アクリル/特殊黒色塗料
2022制作 卒業制作作品
(Photo by Naoki Takehisa /森田遥)
